ホーム > スタッフブログ > こころがブルーなママたち > 【開催報告】子ども・若者ケアラーについての事例検討会~精神疾患のある母親をケアする子ども・若者の支援について考える<あんしん子育てサポートプロジェクト2019> 埼玉県男女共同参画推進センター公募型共催事業 2019年1月27日
スタッフブログ

【開催報告】子ども・若者ケアラーについての事例検討会~精神疾患のある母親をケアする子ども・若者の支援について考える<あんしん子育てサポートプロジェクト2019> 埼玉県男女共同参画推進センター公募型共催事業 2019年1月27日

掲載日:2019年02月02日 こころがブルーなママたち, イベント・セミナー, スタッフブログ, レポート

【あんしん子育てサポートプロジェクト学習会】
子ども・若者ケアラーについての事例検討会

精神疾患のある母親をケアする子ども・若者の支援について考える

ピアサポート(産後うつ)1月27日(日)、「あんしん子育てサポートプロジェクト学習会」を埼玉県男女共同参画推進センター(WithYouさいたま)で開催しました。
今回のテーマは、「子ども・若者ケアラーについての事例検討会~精神疾患のある母親をケアする子ども・若者の支援について考える」です。
森田久美子さん(立正大学社会福祉学部教授)、Aさん(20代の若者ケアラー)のお話をお聞きし、参加者みんなで感想をわかちあいました。勉強や仕事をしながら家族を介護する子どもたち・若者たちが必要としていることは何でしょう。さまざまな立場の参加者の皆様と共に考える、深い時間となりました。


☆本セミナーは、平成30年度埼玉県男女共同参画推進センター公募型共催事業 です。
共催:埼玉県男女共同参画推進センター(With Youさいたま)
協力:
・一般社団法人日本ケアラー連盟
・親&子どものサポートを考える会
・さいたま市精神障がい者もくせい家族会
・認定特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構・コンボ
・NPO法人ぷるすあるは

≪講師プロフィール≫
森田久美子さん 立正大学社会福祉学部教授
日本ケアラー連盟ヤングケアラープロジェクト代表
誰もがケアを担う時代に、ケアを担うことが幸せと感じられる社会の在り方に関心を持っています。

Aさん 20代の若者ケアラー
子どもの頃から精神疾患のある母親と暮らした経験について、語ってくださいます。

≪学習会の流れ≫
第1部 ミニレクチャー ヤングケアラーとは?
(講師:森田久美子さん)
第2部 体験談を聴く(話し手:20代の若者ケアラーのAさん)
第3部 参加者交流会
参加者みんなで、ヤングケアラーについて話し合い、情報交換をします。
ヤングケアラー-20190127-1

第1部は、日本ケアラー連盟ヤングケアラー・プロジェクト代表を務めておられる森田久美子 (立正大学社会福祉学部 教授) さん に、<ヤングケアラー>についてのミニレクチャーをしていただきました。
★★★
ヤングケアラー・若者ケアラーとは
子ども・若者カラーについての事例検討会-2ヤングケアラー(young carer)とは、「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」とされている。
また、若者ケアラー(young adult carer)とは、「家族員のケアや援助,サポートを無償で行なっている(あるいは行なうことになっている)18歳以上24才以下の者」とされている。
前者は、教育や職業訓練を受けていたり、後者は職業定着の段階であるというように、年齢に応じて異なるニーズを注意深く見ていく必要がある。



子ども・若者カラーについての事例検討会-3子どもがしているケアの内容は、家事(料理、掃除、洗濯等)、家庭の管理(買い物、家の修理等)、請求書の支払い、病院への付添いや通訳等。医療的な世話(服薬管理、たんの吸引等)、感情面のサポート(精神状態の見守り、落ち込んでいるときの元気づけ等)、身体介助(入浴やトイレの介助、清拭等)、きょうだいの世話等である。精神疾患の親を持つ子どもの場合は、家事や感情面のサポートをしていることが特徴と言われいる。元気づけたりするだけでなく、自殺の危機にある時や病状が悪化しないための見守りなど、かなり重たいサポートをしていることも多い。、ヤングケアラーは幅広いケアを担っているため、周囲からはケア負担が気付かれにくい。周囲の大人がしっかりとアセスメントしていかなければならない。
ケア役割を担うことは、状況が整っていれば良い影響もあるが、一方で、ケアの内容や量が本人の年齢や能力を超え、適切なサポートが得られない場合、学力への影響、社会的機会の制限と孤立、罪悪感や憤り、承認を得られない、健康面の問題、人と違っているように感じる、貧しい生活等、マイナスの影響が起きていくことがある。ヤングケアラーの存在は、専門家にも見えづらく、特に、精神疾患の親を持つ子どもの場合は、潜在化しやすいため、発見すること自体が支援課題とされている。
なぜ、見えないのか? イギリスでは次のような背景があると考えられている。虐待とみられるのではないかと支援を求めない、スティグマにより差別されるのではないかと病気のことは言わない、周囲から孤立した家庭環境、親が責められるのではないか、病状の波があり周囲の人に様子が見えない、家族でサポートするのがあたり前とSOSを発しない、子どもがケアをしているはずかないという専門家の先入観等―。潜在化している人にどうアプローチするか、安心して話せる環境を、子どもや親の周囲にどう使っていくかが大切である。
では、日本には精神障がいのある親を持つ子ども(ヤングケアラー)は、どのくらいの割合でいるのか。
日本では、政府統計はなく、まだ明確にはわかっていない。ヤングケアラーについては、藤沢市の調査では、小中学校に通う子どもの0.9%がヤングケアラーであり、ヤングケアラーの16.8%が精神障がいのある家族を持つ子どもとなっていた。小中学生を直接対象とした実態把握が待たれる。
(国内のヤングケアラーに関する調査からわかること:略)
ヤングケアラーの必要としていること
子ども・若者カラーについての事例検討会-4では、どのような支援が必要なのか。
イギリスでは、ヤングケアラーに対する支援は1990年代から取り組まれ、豊かな実践の積み重ねがある。
学校でのサポート。学校内で早期に発見することで、不利が積み重なることを防止すると共に、学校に参加しやすい合理的配慮を学校内でシステム化する取り組みが進められている。
家族へのサポート。 親を医療に繋いだり、ヘルパーを派遣することで子どものケア負担を軽減したりする。例えば、藤沢市の小中学校では「チーム学校」という連携的な支援が取り組まれている。「親が医療につながらない時に打つ手がない」等の先生方の声もある。日本では訪問型医療が少ないことや親の良い状態を維持するための支援も課題である。
ケア負担が軽減しても、ケア負担は残る子どもへの支援として、病気や障害に関する情報提供をしたり、子ども自身が楽しめる機会が創られている。「子ども時代に子どもらしく過ごせる機会がなかった」「心配なく遊ぶことができなかった」というヤングケアラーの声がある。例えば、1対1のサポートでは、「映画がみたい」という子どもを支援することや、アクティビティでは、キャンプにいく等、家庭の心配事を離れて遊び、社会経験を積む機会を支援している。
(ヤングケアラーが学校に望むこと、ヤングケアラーへの支援に向けた提言:略)
早期発見・早期支援に向けて
子ども・若者カラーについての事例検討会-5ヤングケアラーは見えづらく、潜在化しやすい存在であるが、見つけられる人は複数いるのではないか。子どもと日常的に接点のある人、子どもや保護者と日常的に接点のある人、ケアを必要とする人と接点のある人等。さまざまなルートで出会う方たちが、子どもたちのニーズを引き出し、必要なサポートに繋いでほしい。


第2部では、20代の若者ケアラーAさんの体験を伺いました
うつ病のお母様のサポートを担って来られた日々と心情を丁寧にお話しくださいました。
お話の後、参加者の皆から多くの質問が寄せられました。「学校ではどのような支援が必要だろうか」、「学校の先生に相談できたか」、「友達に話せたか」、「病院に通えていたか」、「家族で病気のことを話しあえたか」等、質疑応答を通して、実体験を踏まえたヤングケアラー・若者ケアラーの置かれた状況への理解を深めることができました。
(プライバシー保護のため、Aさんのお話は会場内でのみ共有させていたくことを参加者様の同意をいただきました。)

当初、第3部はグループトークを予定していましたが、参加者の皆さんのマイクリレーに切り替えさせていただきました。そのため、会の終了時間を20分程延長させていただきました。帰路の電車の時刻が迫っている方などもおられ、ご迷惑をお掛け致しました。
あんしん子育てサポートプロジェクト学習会は、「心身の不調や心の病に悩む母親、家族、支援者、地域住民が共に考える」ことを目指して参りましたが、今回も幅広い立場の方たちがご参加くださいました。そして、マイクリレーでは、さまざまな立場の皆様の声を共有させていただきました。すべての方が、ご自分に身近な存在として、「ヤングケアラー、若者ケアラー」のために取り組んでいけることを真摯に考え、伝えてくださいました。
(プライバシー保護のため、参加者の皆様の感想は会場内でのみ共有させていただきます。)
ヤングケアラー-20190127-2

≪参加者の皆様からのメッセージ(アンケートの感想から)≫
子どもの立場で家族をケアせざるを得ない状況の方が多いにも関わらず、これまであまり大きく注目されてこなかったのは、やはりケアラー本人(児)がいかに声を挙げづらいか、いかに周りの大人が気付いていないか。そして、「家族は支え合うのは当たり前」というような価値観の問題だと思います。家族の支え合いは大切ですが、それ以前に「子どもは子どもらしく育つ権利がある」こと。それが叶ってこないことの問題について、社会の認識が高まればよいと思います。
ケアラーのお子さんを支援する立場として、少しでもケアラーについての知識を深め、当事者の方の気持ちを理解できればと思い、参加しました。先生のお話、Aさんの体験、共に大変参考になりました。
各学校へのアンケート(子ども、保護者、担任)をすることで、自分がヤングケアラーであることの認識ができ、先生にも周知してもらうことからはじめたい。いずれ全国規模に広め、少しでも早く’困っていることの理解’から伝言→支援につなげられる活動が行える環境づくりもしたい。子どもの支援をしていきたい。資料等ないのですが、私ができることはないでしょうか?
20代で仕事をしていて、結婚や妊娠を経験しているヤングケアラーの話を聴くのは、貴重な経験だった。当事者の声を聞く機会が、もっと増えて、若くして親を介護している人もいるという現実が広く知られればと思う。
貴重な生の経験を聞かせていたたき有難うございました。新しい視点でケアラーと関わっていけると思います。
本日は貴重なお話を有難うございました。当事者の方のお話や参加者の方のお話を伺って、自分では気付き得ないことにたくさん気付かせていただきました。支援者として、「安心して相談できる人」になりえるように力を尽くしていきたいと思いました。
臨床心理士をしています。精神科で大人を見ている時もありましたが、今、主に子どもをその親御さんとあうことになり、その中で、相談に来るお子さんの中には少なからず親が精神疾患を抱えている方もいらっしゃいます。彼らをどうサポートするか、そして、ちゃんとサポートされる機会をつくるためにはどうしたらよいのかについて、登壇者の方はもちろんですが、参加者の方々とのお話もすごく勉強になりました。
自分のおかれていた状況が、客観的に理解できました。自分の感じていた辛さがたくさんのヤングケアラーの方の感じていた辛さだと知ることが出来、少し安心しました。また、身内や家族間で気持ちを共有できず、悲しさを感じていましたが、逆に家族間で抱え込むことは難しいと言っていただき…。
もっと多くの人にしていただきたいと思っています。多くの人がつながって、それによって困難が克服できるようなシステムが出来るといいなぁと思います。
ヤングケアラー当事者のお話をお聞きできた貴重な機会でした。有難うございました。
ヤングケアラーと呼ばれる人たちがいることは知っていても、実際どのような生活を送ってきた人たちなのか知る機会がなかったので、本日、体験談が聞けて、とても参考になりました。家族だから当たり前ということではなく、困り事があれば、人や機関に助けを求めることが一般的にできる社会を目指さないといけないと感じました。
「ヤングケアラー」という日本が抱えている問題をさらに表面化し、支援ニーズを広げてほしい。
埼玉県内でヤングケアラーについて話を聞く機会がなかったため、近場で話を伺えてよかった。
有難うございました。カウンセラーさん等、専門職の方々も多く、今後の広がりを期待しております。
限られた時間内で各々有効にトークをしてもらうために、スケジュール通りに近い形で進めていただけたらと思いました。

≪謝辞≫
埼玉県男女共同参画推進センター様[共催]
平成30年度埼玉県男女共同参画推進センター公募型共催事業として採用いただきありがとうございます。毎回、会場提供、広報、保育サポートへのご支援をいただけることに感謝申し上げます。開催日当日の細やかなご配慮には、本当に助けられました!  公募型共催事業は、今回が最終回になりますが、これまでのご支援に心から感謝を申し上げます。

一般社団法人日本ケアラー連盟様 
<ヤングケアラー>について先駆的な研究、活動、発信をされている「日本ケアラー連盟」様のご理解をいただき、広報にご協力をいただきました。パンフレットのご寄贈も有難うございました。
http://carersjapan.com/ycpj/index.html

親&子どものサポートを考える会様
精神に障がいを持つ親と暮らす子どもへの支援の大切さを全国に向けて発信し、各地の支援者をつなぐ活動を続けてくださる、「親&子どものサポートを考える会」の代表の土田幸子さん(鈴鹿医療科学大学 看護学部 准教授)とメンバーの皆様。今回も協力団体としてのご支援有難うございました。11月の第6回全国版 子どもの集い・交流会のご案内をお伝えさせていただきました。
http://www.oyakono-support.com/

さいたま市精神障害者もくせい家族会
毎回、広報等で多大なご支援をいただき、埼玉県内の多くのご家族の方にお知らせすることができました。今回も協力団体としてのご支援有難うございました。
http://mokusei-kai.com/

特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構・コンボ様
会の広報にご協力いただくとともに、コンボ様パンフレットや『こころの元気+』見本誌をご寄贈いただき有難うございました。また、メールマガジン等でも会のご案内をいただきました。本当に嬉しいご配慮有難うございます。
https://www.comhbo.net/

ぷるすあるは様
毎回、広報等でも多大なご支援をいただいき有難うございます。いつも早い段階からのお知らせを気にかけてくださることに助けられます。参加者様のお話からも、「ぷるすあるはさんの本にもあるように―」などの話題が自然に出され、精神疾患のある親を持つ子どもの理解のための共通語が生まれていることにを実感しています。
https://pulusualuha.or.jp/

≪プティパからのメッセージ≫
当イベントは、9月30日の開催日を迎えるばかりの状況でしたが、台風24号の進路予報を受け、皆様の安全第一を考慮し、開催休止とさせていただきました。突然の休止連絡にも関わらず参加予定の皆様にご快諾いただけたことに助けられました。開催時間は嵐の前の静けさでした。夕刻の最寄駅のさいたま新都心駅は、20時を持って運転休止になるということで混雑が始まっていました。もし開催をしていたら、多くの方が交通混乱に巻き込まれていたことでしょう。延期開催まで長くお待たせをいただきましたが、再申込みをしてくださる方も多く、本当に有難く思います。
「あんしん子育てサポートプロジェクト学習会」は、今回が11回目(台風による休止1回あり)となりました。第6回からは埼玉県男女共同参画推進センター公募型共催事業として開催させていただきました。「当事者と家族の経験から学び、本当に必要とされている’療養と子育ての両立’を学びあう」意義を受け止めてくださったことに勇気をいただきました。また、半年以上の時間をかけて広報に取り組むことができました。小さな学習会ですが、「心身の不調を抱えながら子育てに取り組んでいる母親やご家族がいること」など、多様な家族ニーズがあることを多くの方に知っていただくことを願い、チラシを配布し、インターネットを通して呼びかけることができました。
第1回から第10回の学習会は、さいたま市子ども未来局子ども育成部子育て支援政策課様が窓口となり、さいたま市様に後援事業として承認をいただきました。おかげで区役所や保健センターへのチラシの配架等のご支援をいただくことができました。しかし、残念ながら、今回の後援承認はいただけませんでした。「(テーマを)担当する課がない」ことが理由とのことでした。「精神疾患」という言葉が加わると、病気・障害に枠づけられてしまいますが、医療・福祉・教育等の連携を育み、多様な家族ニーズに応える社会に向かってほしいと願わずにはいられません。
経験を語ることは、痛みを伴う振り返りなくしてはできないことです。経験を踏まえた言葉は、五感を通して、聴く人の心に伝わっていきます。Aさんには、多大なご負担をお掛けいたしましたが、貴重な体験をお話いただき有難うございました。また、森田先生には、2016年に続いて、実践研究や海外の最新動向を踏まえたご講義をいただき有難うございました。そして、今回も参加者様に支えていただき、共通の関心と共感に溢れた時間を共に過ごすことができました。つながりをいただいた皆様に心より感謝を申し上げます。
(一般社団法人 プティパ ソーシャルワーカー 田村芳香:精神保健福祉士 社会福祉士)

Pocket