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’あんしん子育て’サポートプロジェクト第1回学習会(6月16日)『うつまま日記』に学ぶ産後うつ開催報告

掲載日:2013年06月24日 こころがブルーなママたち, イベント・セミナー, スタッフブログ, レポート

6月16日(日)、「’あんしん子育て’サポートプロジェクト第1回学習会」を武蔵浦和コミュニティセンター(さいたま市南区)で開催しました。



第1回テーマは、『うつまま日記』に学ぶ産後うつ。
『うつまま日記』を発行された特定非営利法人地域精神保健福祉機構コンボ『こころの元気+』編集長 丹羽大輔さんと編集の小林絵理子さんに、『うつまま日記』やうつ病の人への対応などについてお聞きしました。



≪講師プロフィール≫

小林絵理子(こばやしえりこ)さん

 うつ病の当事者。10代の頃から精神科に通院。短大を卒業後、漫画の編集プロダクションに入社。その後、症状が悪化し退社。
 自らNPO法人コンボに仕事が欲しいと電話をかけ、それがきっかけで「うつまま日記。」の編集担当を務めることになる。
 NPO法人コンボ初の漫画単行本「うつまま日記」の編集を担当。コンボのイベントや発行物のチラシのデザインも手掛ける。「こころの元気+」(通巻44号)で表紙モデルをつとめた。昨年のリカバリー全国フォーラムでは、トークライブに出演した。

丹羽大輔(にわだいすけ)さん
「NPO法人 地域精神保健福祉機構」通称(コンボ)の職員
20年前に、精神疾患をもつ人の親の会である全家連に入職し、雑誌や本の編集の仕事を担当。
7年前に、コンボの創設メンバーに加わり、メンタルヘルスマガジン「こころの元気+」を創刊。現在も編集責任者
約10年前にうつ病を患う。その時、体験談の掲載された本を読みたいと思った。その思いをもとに、「こころの元気+」に体験談を豊富に掲載するコンセプトをつくった。7歳の娘の父親

 ≪司会≫
藤枝真紀子さん(臨床心理士・自助グループ「はぐはぐ」(ママブルー埼玉支部)主宰

≪第1部:小林絵理子さんのお話≫
『うつまま日記』について
『うつまま日記』は、まつもとあけみさんの原作をもとに、漫画を祐美さん、私が編集を担当。精神疾患を抱える女性たちが、3年かけて制作した。
『うつまま日記』は、コミカルな絵だが、内容はシリアス。わずか102ページの中に、日本の精神医療や精神疾患のある人の家族の課題がたくさん含まれている。「精神科にかかっている人が妊娠・出産をしないで欲しい」という医師の言葉も出てくる。うつままさんも第二子の出産を諦めるという辛い体験をされた。薬を増やしてもうつ病はよくならない。入院して、息子と離れ離れになるのは避けたいと実家で療養したりもする。最近は母親が精神疾患をもつ子どものケアが話題になることも多いが、今は高校生になる息子さんが成長していくまでの葛藤も具体的に描かれている。
その後うつままさんは、セカンドオピニオンを選択され、医師を替えた。診断名も変わり、「薬は最小限にして、家事ができなかったらできる時にすれば」という医師の助言を受け、「100点満点のママじゃなくても50点でもいいんじゃないか」という考えが持てるようになっていく。『うつまま日記』は、一家に一冊あってもいいのでは!
小林さんのうつ病体験
うつ病になって10年以上になる。職場ではしょっちゅう泣いている。
雑誌の編集をしている時、印刷ミスは莫大な賠償金がかかると言われてきた。コンボではデザインを担当しているが、ある時ファックス番号を間違えてしまい、「コンボが潰れてしまう」という極端な志向に陥ってしまった。「コンボ亭」というイベントで精神科医の大野裕先生の認知行動療法の公開面接を受ける機会があり、この時のことを振り返った。「間違ったファックス番号にはファックスは送れない。相手の人はどうする」、「コンボに電話をかける」、「どこにも迷惑がかからない」と納得できた。
心配をするとマイナス志向になり、常に泣いている。口癖のひとつは、「生まれてきてすみません。」私ひとりを生かすのにかかるお金を計算してみたら、自分にはそんな価値はない。医療費がたくさんかかっているので、税金を食いつぶして悪いなと思ってしまう。今日も、丹羽さんとの約束の時間に遅れてしまった。昔の苦労が蘇ってくる。
「コンボ」で働く前は、仕事は半年位しか続かずいろいろな職場を転々とした。「コンボ」が最高記録。なんでこんな続けられるのだろう。編集時代は、深夜に帰る生活で休まず働き続けなければならなかった。「コンボ」は仕事に対しては、一定の責任が伴うが、皆さん優しい。「短い時間で長く働きつづけてくれるほうが助かる」と言ってくれるので、安心して働きやすい職場なのだと思う。

≪第2部:丹羽大輔さんのお話≫
丹羽さんは、「『うつまま日記』に学ぶうつ病の人への接し方」と題して、69枚のスライドを使ってお話くださいました。




『うつまま日記』と家族
産後うつは、10人に1人、マタニティブルーは10人に8人が罹ると言われている。出産直後は女性ホルモンのバランスの急激な変化で、母親は不安定な状態になっているが、子どもの誕生を周りの人が喜んでくれる時に、辛いとか哀しいが言えない。産後うつを悪化させる原因のひとつに、夫や両親が大変さをわかってくれないことがあると言われている。『うつまま日記』の夫婦像も、夫は病気に対する理解がなく、精神力で治せというタイプで、「なぜ家事をやらないんだ」と責め、妻もできない自分を責める。次第に夫婦の会話もなくなっていく。今は、「ダンナもだいぶ丸くなってきた」とのこと。実父母の無理解も多いが、「子どもの病気を認めたくない」という親も多い。
産科では、妊婦に不安をもたせないことが優先され、産後うつについての情報提供がされていないために、そんなことが起こると思わず、単に怠けているのではないかと思ってしまう。

丹羽さんのうつ病体験
10年位前にうつ病を患った。精神疾患に関する知識はあったが、自分のうつ病になった時には気か付かずわからないことだらけだった。周りの人に対して、「全く役に立っていないのに申し訳ない」という極端な思考に陥っていたが、単に気持ちの落ち込みと思っていた。この体験を通して、「うつ病の人への接し方」について話したい。
うつ病の人への接し方
誰もが・風邪の知識はあるが、うつ病のことは知らない。知識の量が違う。ならば、知識を増やせばいい。うつ病は脳の病気。精神力では治せない。心と身体に症状があらわれる病気。うつ病の人の気持ちは、不安や孤独、申し訳ない、消えてしまいたい、気持ちをわかってもらえない、自分の存在がなくなればどんなにいいだろう、いろいろな助言や励ましが苦痛等の極端な思考パターンに陥る。
周囲からは怠けているようにしか見えないかもしれないが、本人はやりたくてもできないことが辛い。
「がんばれよ」と励まそうとする行為は、「今の自分ではダメなんだ」というメッセージが含まれていて、全否定されたように感じてしまう。「そんなことはない」ということ自体、相手を否定している。本人は自己肯定感がますます持てなくなってしまい、悪循環に陥ってしまう。
否定も肯定もしない。では、どうすればいいのか。まず、相手がどう思っているのかを受け止めてあげる。そして、「私はどう思っているのか」という伝え方をすればいいのではないか。「気晴らしに〇〇をしたら」と勧めることも、本人が好きなこともできない状態で「申し訳ない」と言われることも苦痛に感じてしまう。知識にもとづかないアドバイスも、病気を悪くしてしまう。
では、どうすれば・・・。
「あなたにできる10のことがら」をお伝えしたい。
(1)知識をもつこと(やればできます)
(2)安心できる場を提供する (意識しないとむずかしい)
(3)長期戦になることがあるので、その腹をくくる(なかなかむずかしい面があるかも)
(4)一人(家族)だけで問題を抱え込まない
     利用できる制度やサービスも活用する(やればできる)
(5)相手が変わることばかりを望まず、自分も変わることをめざす(少しむずかしい)
(6)相手の気持ちを理解する対応を身につける
 自分の気持ちだけを押しつけない(やればできる)
(7)相手のおかれている現状を認めること(やればできる)
(8)病気などのマイナス面をなくすことだけを考えず、健康なプラス面を広げる考えに切り替える(やればできる)
(9)自分のせいだと思いこまない (ちょっとむずかしい)
(10)自分も息抜きをする (やればできる)
家族ができることは、その人の健康な部分を増やすこと。プラス面を広げるようにする。健康な部分が増えると、病気の部分が小さくなる。自分のせい。自分を責めるとそこで止まってしまう。
私のせいと言われると本人が辛い。うつ病は生き方を変えるチャンスになるかもしれない。

【参加者の皆様からのメッセージ(アンケートの感想から)】
知人の奥さんが産後うつということを知り、どのように接することがベストなのか知りたかったので、対応方法を教えてもらえて勉強になりました。小林さんのうつ症状を聞き、私自身かぶる所があり驚きました。仕事が続かなかったり、周りの人に対して申し訳ないと感じたり、仕事をしていないで育児しかしていない自分はいけない自分、怠けていると思われているんではないかと、私は思いやすいので、共感できることばかりでした。同時に夫が「何でもせんでいい。息子といるだけでいい」と言ってくれるので、自分で必要以上に責めずにいられるのだと改めて夫への感謝の気持ちが増しました。もっとうつの知識を知り、自他共に支えたり支え合えるようなっていきたいと感じました。(あかりさん)

プティパの活動をとても応援しています。うつに関してはとても関心のあることがらです。様々な考え方があり、今日の会もとても思うところが多々ありました。私自身の経験と一般的に言われている考えと、まだ自分の中でまとまらない部分が多くあります。”信頼できる医者”とはどういった基準なのか知りたいと思いました。ちなみに私は、薬害ねっとワークに加入しているので、様々な薬をだすことに疑問が強く、しかし、薬を必要としている人がいることも事実で、まだまだ勉強しなければいけないなと思いました。(まみこさん)

丹羽さんのお話の中で、うつ病の方への対応など非常に具体的でわかりやすく勉強になりました。特に、うつ病の方の否定的なその方の意見も「受け止めてあげる」ことの大切さが一番重要だと知りました。小林さんの当事者のお話もたくさん考えさせられることがありました。つくづくうつ病は、本人も周囲も対応が簡単ではない病気なのだなぁと感じました。

とても勉強になりました。また、うつ病をかかえながらもお仕事をし、ご自身のことを話してくださった小林さんには、人の力強さや生きてくエネルギーも感じさせていただきました。ありがとうございました。

当事者の方のお話がたくさん聞くことができ、本当に勉強になりました。わかりやすい説明で、知識を増やすことができよかったです。うつ病と気付いたときのこと、病院のこと、服薬のこと、今の暮らしのことなど、当事者であるから話せる話を聞けたことは具体例として受けとめやすく心に響きました。少し時間が押してしまい、質問や感想を話す時間が少なかったように感じましたが、会が終わってから参加者がゆっくり話し合ったりできる雰囲気になっていたのでよかったと思いました。

とても具体的にいろいろな場面について教えていただけたのですっとお話が入ってきました。当事者の方のお話はやはり説得力があって、参考になります。これからうつ病の方のサポートをするかもしれない立場からお話をうかがいましたが、家族や友人にも起こりうる事として心に留めておきたいと思います。

「うつ」がどういうものか、そして、周りはどういう対応をすれば良いか、あまりよくない対応などをいろいろお聞きでき、長年どうしていいかわからずにいたことをお聞きでき、本当に参加できて良かったです。質問の時間をとってしまいすみませんでした。小林さんもすごくほんわかする空気をお持ちの方で、やわらかにいろいろこれからも皆様にお伝えするメッセンジャーとしても適任ではと思いました。

当事者としてのお話、実体験を目の前で見聞きさせていただき、また、医療、保健の立場からの講義と違う有意義な時間でした。自分も周りの対応(できる10のことがら等)、いろいろ考えさせられました。産科、保健センターでの両親学級等、産後うつの普及の課題も大きいと思いました。

昨日、ネットでマタニティブルーや産後うつのことを調べて、自分もこうなるかもなぁと思いました。(笑)産後、こんなに辛いめにあうママがいることを知りませんでした。今日は、当事者からの実際に経験された生のお話が聞けて本当に良かったです。特に、うつ病の人への接し方の話は、自分にとって、とても参考になりました。「これを全部やるのてはなく、少しずつやればいい」という言葉を聞いて、個人として、また、将来、支援者をめざす学生として安心もでき、頑張ろうと思いました。
『うつまま日記』も読んでみます。貴重な講演を有難うございました。(ゆずももさん)

今日は有難うございました。うつの方の現状をそのまま受け止めること、はげましは逆効果であることなど参考になりました。うつに関する情報が、一般的にもっと認知されるべきだと思います。”産後うつ”への理解がもっと浸透することで、母の苦しみが軽減するのであれば、産前に知っておくことが大事なのではないかと思いました。 

うつ病に関する知識があまりメディアで詳しく取り上げられないのが実情だと思いました。ネットでは、間違った知識や認識があり、やはりこういう交流の場がとても重要なのだと感じました。私には専門的な知識はありませんが、少しでも勉強してこういう場があるということ、正しい知識を持つことの重要性など、伝えられる限り伝えて以降と思っております。

≪司会・藤枝真紀子さんからのメッセージ
小林さんの想像力の豊かさはすごい。泣きつつも、生き続けている。その姿だけでもすごい。心の辛さを抱えて生きる重要さを姿をもってみせていただいていると思いました。。
うつ病は簡単に治る病気ではない。長期戦も覚悟して、生き方を変えるきっかけにしていくことも大切かもしれないというヒントをいただきました。

≪保育サポート
チャイルドサポート大宮様のご協力をいただきました。ありがとうございました。

≪プティパからのメッセージ≫
『うつまま日記』が繋いでくださったご縁で、特定非営利法人地域精神保健福祉機構コンボの丹羽さん、小林さんをお迎えし、藤枝真紀子さん(臨床心理士・はぐばぐ主宰)の司会で、第1回学習会を無事開催することができました。参加者の皆様もとても熱心に聴き入ってくださって、アンケートでもたくさんの感想をおつたえくださいました。アットホームな会だった”というご感想も多くいただき、とても嬉しく思っています。

この学習会は、産後ブルーに悩むママ、家族、支援者、地域住民がともに考える場です。当事者と家族の経験から学び、本当に必要とされている「療養と子育ての両立」について考えます。

次回のテーマは、「ママの体験 産後うつを通して思うこと」。
さいたま市で自助グループ「はぐはぐの場」を主宰されている藤枝真紀子さんの体験をお聞きします。当事者として自身の体験を通して思うこと、支援者であり心理士として思うことを語っていただきます。

●日時:7月21日(日)14:00~16:00
●会場:武蔵浦和コミュニティセンター
保育サポートもあります。詳しいご案内はこちらです。

皆様のご参加をお待ちしています。 

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