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’あんしん子育て’サポートプロジェクト第2回学習会(7月21日) 「ママの体験 産後うつを通して思うこと~発病・回復・支援へ~」開催報告

掲載日:2013年07月26日 イベント・セミナー, スタッフブログ, レポート, 病気・障害のあるママたち

7月21日(日)、’あんしん子育て’サポートプロジェクト第2回学習会を武蔵浦和コミュニティセンター(さいたま市南区)で開催しました。
第2回テーマは、第2回ママの体験 産後うつを通して思うこと~発病・回復・支援へ~。さいたま市の自助グループ「はぐはぐ」代表で臨床心理士の藤枝真紀子さんの体験をお聞きしました。
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後援:さいたま市


講師プロフィール≫
藤枝真紀子さん
はぐはぐ(ママブルー埼玉)代表
臨床心理士、ガイダンスカウンセラー、学校心理士、認定心理士
「はぐはぐの場」は2010年1月から始まり、今年で4年目を迎えました。産後ブルーの全国ネット「ママブルー」の埼玉支部でもあります。当事者として自身の体験を通して思うこと、支援者であり心理士として思うことを語っていただきました。

≪第1部:私の「産後うつ体験」について≫
上のお子様の妊娠中から出産、産後の経過を身体の状態や出来事、周囲の人との関わり、ご自身の精神的状況等、藤枝さんは様々な視点から丹念に振り返っていかれます。「心理士なのに…心理士ゆえに認めたくない」という言葉から、当時の葛藤が切実に伝わります。
産後3ヶ月、「限界!!」。受診し、ご家族や周囲のサポートを得ながらの闘病が始まります。とにかく話を聴いてくれ、家事の負担をわかちあってくれた夫。5人目にしてようやく信頼できる医師との出会い・・・。しかし、辛さを周囲に「わかってもらえない」ことから傷つき、「消えてなくなりたい」という自責感情に苛まれる日々は続きます。

「少し動けるようになり、治ったと勘違い!?」。状況は一転。いよいよ起き上がれなくなります。この時の「腹を決めて治療をしよう」という決断は、大きな転換点でもありました。「どれだけ我慢をしていたか」、これまでのご自分と向き合い、「無理をしない」、自分なりの生活の工夫を重ねていかれます。「超薄皮をはぐように」回復に向かう経過を、「調子のふり幅が小さくなり回復が速くなる」と表現されています。
そして、「発症時と回復時が危機」でもあるということは、藤枝さんも例外ではありませんでした。危機を越え、服薬終了後の離脱症状を越え、「やっと終わった」と実感できる日を迎えるまで丸3年もの時間が必要でした。

第2子のご出産では、「産後うつにならない!」という決意のもと、様々な生活や行動の工夫をされます。「とにかく自分を守る」、「無理をしない」、「今はこういう時とやり過ごす」、「お金をかける」、「人に頼る」等など。さらに、仕事を再開し、産後うつ体験を生かし、支援をするという目標の通りに、「はぐはぐ」の活動をはじめられます。
産後うつは、藤枝さんの「生き方が変わった」体験でもありました。人の痛みが分かり、臨床心理士としての仕事に活かせている等、人としての成長にも繋がったと実感されています。しかし、「もう二度となりたくない」という言葉は、それを越えていく事がどれ程辛い体験の連続であったかの証でもあります。

2:母親のこころの不調について~産後うつを中心に~≫
第2部では、ご自身が産後うつの体験もあり、臨床心理士でもある藤枝さんの真骨頂ともいえるお話を伺いました。「母親のこころの不調」の複合的要因と病状の多様さ、その治療も個別性が高いことがよくわかります。
藤枝さんは、産後うつのみが虐待を引き起こしているかのようなメディアの傾向に、疑義を投げかけます。「子どもを守ることは大切なことだが、母親の気持ちは置き去りにされているのではないか」と…。心理士として子ども家庭相談に関わった経験から、児童虐待の発生要因は、虐待を受けた経験、親・子、あるいは両者の発達の問題や他の精神疾患や、家族との関係性や経済的状況等、実に多様であり、産後うつは関連要因のひとつと言われます。

望ましい支援とは、「すごく難しいことだけれど」、母親ではなく一人の人間として、気持ちを受け止め、話を聴きながら寄り添う支援。ひとりひとりの状況に合わせた支援の大切さです。状況を整理し、必要な支援をソーシャルワーカーがコーディネートしてくれればいい。また、妻を支える支援者である夫を支えることも大切。支援者が1人で抱え込まず、支援を受けながら支え合えるような支援のあり方を示して下さいます。

はぐはぐの活動は、以下の論文として発表されています。
「産後のこころの不調に悩む母親を対象とした自助グループの試み」
言語と文化 文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所 2012
「産後のこころの不調に悩む母親を対象とした自助グループの効果:継続参加者の心的変容について」
言語と文化 文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所 2013



≪質疑応答&シェアリング≫
質疑応答とシェアリングの時間。参加者様より質問をいただくとともに、小グループで感想等をわかちあっていただきました。とても和やかに、それぞれのグループでお話が弾みました。





≪参加者の皆様からのメッセージ
(アンケートの感想から)≫
藤枝さんが学習会を目前にして、緊張されているとの事でしたが、本番では、さすが心理士さん。落ち着いた語り口調で、安心した聴講することができました。藤枝さんは、精神科医から「寛解」の太鼓判を押してもらっているそうですが、やはり自身の辛い体験をお話するのは、内臓をえぐりだされるような気分だと思います。今日は、お話下さって有難うございました。(にゃんチキさん)

藤枝さん、大変でしたね。また、良いだんな様で良かったですね。現在、産後ドゥーラ養成講座を受けている身なのですが、その中で学んだのは、(レジュメの)「⑧-1支援の方法」そのものです。出産した女性に寄り添うい、ありのままを受け入れる。ひとりの女性として関わり、話を聞いたり、家事・育児サポートをする。藤枝さんのお話は、回復をして支援まで一連の流れがとても具体的で、納得のいくお話でした。サポートする側もガチガチにならずに支えられたらと思います。(Miharuさん)

産後に関わらず、「うつ」の症状や経過、回復について、すごくわかりやすかったです。産後うつでなくとも、初めての子育ては、不安、わからない、寝不足、身体もしんどい、授乳・母乳の悩み等で、相当きついのに、うつの状態で身体は動かない、申し訳ない、子どもの面倒ができない。でも、したい、しなければ…、どうしよう等など。どれ程大変かと存じます。具体的なサポートがもっと発信されるといいですね。自分も産後かなり不安定でしたが、保健師さんや母乳外来の助産師さん、その他いろいろな方に見守られ、励まされ、なんとかやり過ごせたように思います。自分でも「しんどい自分に気付いていて」、あえて泣いて心を晴らしたりしていました。(まるさん)、

実際のお話を聴くことができ、参考になりました。夫のサポートが重要であることも理解しました。ありがとうございました。

現在、1人目の妊娠中なので、産後の大変さのシュミレーションが今までできなかったけれど、今日の体験談で少しわかりました。ありがとうございました。

共感できる箇所が多々あり、自分自身を肯定されているような気持ちになれました。身体が動かなて育児がきちんとできなかったり、常に、夫に申し訳ない想いを抱えて、涙もろくなったり、被害的や怒りっぽい自分に落ち込んでいましたが、それでもいいのだと、自然なことなのだと思えるようになれました。私も実家と確執があり、頼れないストレスやさびしさでつらい気持ちをかかえ、人に分かってもらえないつらさを夫にくんでもらえたことで、自分を保つことができたことを改めて感じました。パートナーの重要性もまた大きいことだと思います。次回も楽しみにしています。(あかりさん)

産後うつの体験、意外に一般の方は知らないのではないかと思いました。報道のイメージで自分自身も自分は罪(うつなのは)くらいに思い、手助けに抵抗があった。そういう部分をもっと、こうではないよ、こうだよと(藤枝さんがおっしゃったように)伝えて欲しいです。

貴重な体験を聞かせていただきました。自分自身で産後うつのような症状があり、子供の成長と共に回復していったのですが、今回話しを聴きながら振り返ることができました。私自身は、流産や予定外の帝王切開出産だったので、それも要因だったのかもしれないと分かりました。もう息子も大きくなったので、これからも愛情をかけて育て、辛い時期を一緒に乗り越えた家族を大切にしたいと改めて感じました。有難うございました。(さとくんママ)

自分の症状と同じ部分も多く、自分だけが辛いわけではなかったのだと救われました。2人目をめざしているのですが、主人にお願いしたことが具体的にわかり、有意義でした。ありがとうございました。

出産や子育ての話は正直現実味がなく、どのくらい大変なのか想像もできませんが、参加者さん同士のお話を間近で聞かせてもらって、なにかしら支えになるものがあるだけで気持ちが楽になるんだなあと感じました。それは、ご主人だったり、両親だったり、近所のおばさんだったり、人によって違うけれど、孤立しがちな子育てで、自分は一人じゃないと感じられる瞬間があることが大きな支えになると思いました。

保育サポート&ボランティア
9歳から10ヶ月までの9人のお子様たちが、学習会の間、別室のお部屋で過ごしました。お子様たちもお疲れ様でした。ママの応援ありがとう!
保育サポートは、チャイルドサポート大宮様のご協力をいただきました。
また、東洋大学井上美幸さんはボランティアとして、会場設営や保育サポートを手助けくださいました。有難うございました。

≪プティパからのメッセージ
精神科ソーシャルワーカーとしての相談支援の経験から、「療養と子育ての両立」を支えることが大切という想いが、プティパの活動につながっています。あんしん子育てサポートプロジェクトのパートナーになっていただいた藤枝真紀子さんに、今回講師としてご登壇いただき、発病から回復の経過や自助グループ「はぐはぐ」を立ち上げられた想いを直接伺う事が出来たことは本当に貴重な機会でした。当事者として、また、支援者であり心理士として、様々な体験を通しての深いお話でした。「本当に必要とされている支援」についても、具体的なイメージが広がりました。何より参加者様の熱心さにも心打たれました。静かな共感でつながった時間。皆様に心からの感謝を申し上げます。

この学習会は、産後ブルーに悩むママ、家族、支援者、地域住民がともに考える場です。当事者と家族の経験から学び、本当に必要とされている「療養と子育ての両立」について考えます。

次回のテーマは、「パパの体験~産後うつの妻を支える」。
第3回の講師は、第2回学習会講師藤枝真紀子さんの夫です。真紀子さんが第一子出産を機に産後うつを患った際をふり返りながら、夫としてまた子どもの父親として、何ができたのか、できなかったのかをお伝えしたいと思います。なお、当日は、妻:真紀子さんと対談しながら、当時の様子をお伝えしたいと思います。

日時:9月16日(月・祝日)14:00~16:00
会場:武蔵浦和コミュニティセンター
保育サポートもあります。詳しいご案内はこちらです。

皆様のご参加をお待ちしています。

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